キムラ弁護士、ミステリーにケンカを売る


【出版社からの紹介】
長くて登場人物の多いミステリー小説を読む人の気が知れない―そんな持論を展開するキムラ弁護士に、それはあなたが質のよいミステリーを読んでいないからでしょう、との反論が。売り言葉に買い言葉、「じゃあ、その質の高いナントヤラを持ってらっしゃい。徹底検証してやろうじゃないの!」古今東西、娯楽ミステリーから古典的名作まで、法律・捜査の常識欠如だらけの“問題作”を、キムラ弁護士が一刀両断。
ミステリー篇
マークスの山』にケンカを売る/『半落ち』にケンカを売る/『十二人の怒れる男』にケンカを売る ほか
恋愛・家族小説篇
冷静と情熱のあいだ』にケンカを売る/『キャッチャー・イン・ザ・ライ』にケンカを売る/『流星ワゴン』にケンカを売る ほか
ロングセラー・ベストセラー篇
海辺のカフカ』にケンカを売る/『運命峠』にケンカを売る/『リプレイ』にケンカを売る ほか

  • CSIのノヴェライズの中に、科学捜査を知り尽くしていると、いわゆる「本格推理モノ」はあほらしくて読めない、というエピソードがあった。精通した専門分野があると、「その道の素人」が少々の調査で知ったかぶりして書いた小説なんぞ、粗があって当然ということなのだろう。
  • 弁護士の著者は、法律分野での間違い探しが気になって、ストーリーそのものを中々楽しめないようだ。大変だなあ。だって、「半落ち」などに対するミスの指摘はさておき、柴田錬三郎の「運命峠」や山田風太郎の忍法モノにケンカ売っても仕方ないのになあ。それはね、そういうものなんだよ。
  • しかし、素朴な視点で見直す「感想文」としては楽しく読めた。書評家などの「その道の玄人」には決して書き得ない種の文章である。