短評:ザ・ストレイン
ザ・ストレイン ギレルモ・デル・トロ チャック・ホーガン 大森 望 早川書房 2009-09-10 売り上げランキング : 175670 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
内容紹介/Amazonより
2010年9月、ニューヨーク・JFK国際空港で旅客機が着陸直後に外部との無線連絡を絶ち、照明を消し、すべての電気系統を落として誘導路上で沈黙した。人質事件の懸念から突入したレスキュー隊が発見したのは、二百名近くの乗客が席に着いたまま静かに息絶えている姿だった…。バイオテロの可能性から、当局はCDC(疾病対策センター)の特別班を召集する。チームを率いる疫学者イーフリアムは最愛の息子と過ごす貴重な週末をきりあげて空港に急行し、機内のバイオハザード調査に入るのだった。事件の原因究明にあたるイーフはやがて、この悪疫がいくつもの家族と社会秩序を引き裂き、猛烈な勢いで蔓延していくさまを目の当たりにする。それは同時に、太古の昔から地球に生きる、ある忌まわしい種族の復権を意味していた―アカデミー賞映画監督ギレルモ・デル・トロが長年あたためてきたアイディアを惜しまずそそいで贈る極上のスリル。全米ベストセラー・リストランクイン、世界21カ国で翻訳決定の傑作ノンストップ・パンデミック・スリラー。
- うそつき!パンデミック・スリラーじゃないじゃん!私の苦手なアレじゃないか!うえーん、こわかったよー!
- 本作はチャック・ホーガンと映画監督ギレルモ・デル・トロの合作である。デル・トロと言えば、「ミミック」「ブレイド2」である。「ゴールデン・ボーイ」シリーズは、面白そうだけど未見。最近では、「パンズ・ラビリンス」が話題だったが、見てない…てゆーか、美しくて、怖くて、見たいけれども、見たくない。
- とゆーことで、上記紹介を読んで興味を持った方は、以降を読まないでください。そして、私と同じ気分を味わってください。
- で、本作は、ーー紹介では伏せられており、実際それが効果的演出の一つにもなっているがーー「ブレイド」系*1である。それと同時に、ゾンビものでもある。伝統的な設定を生かしつつ、それを現代の技術や小道具に当てはめて用いる手法が見事。
- 生々しいクリーチャー描写が、ひたすらコワイ。私はホラーが苦手なんだよ!これが映画化されても、ぜったいに、ぜっっっったいに見ないからな!また、映画監督と映像的な文章を得意とする小説家の合作なもので、ありありと目に浮かぶんだよ。ああ、コワイ……。
- トロがアイデアを出し、ホーガンが文章を書く、という方法なのかと思いきや、そういった明確な分業ではなかったらしい。元は、お蔵入りしたTVドラマの企画*2だったので、トロの用意した膨大な設定集が先にできていた。それを読んで魅了されたホーガンと、一章ずつ書いてメールで送り合い、二人で刈り込んだり、付け足したりして完成させたもののようだ。
- 「完成」と書いたが、本書最大の問題は、これが三部作ということだ。最後の数ページ、この大風呂敷をどーやって畳むのよ?とそわそわしていたら、「まだ決着がついていない」で終わってしまった。巻末の解説(訳者の大森望)によれば、三部作になるらしい。そんな……これから先、二冊もこの分量、この生々しい恐怖を読まないと、すっきりできないの?あの人どうなるの?あれどうなるの?ってーのを知るには、読むしかないの?あああ、読みますよ。第二部は今月(2010年10月)刊行済(邦訳は未刊行)、第三部は2011年3月刊行予定。大森さん、よろしくお願いいたします。
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- 2011年公開予定「ホビットの冒険」を撮影中のトロさんだが、いったいどんな作品になるんだろうなあ。原作ファンとしては、あんまりアレンジしてほしくないが、同時に、私の思いもよらない世界を作ってほしくもある。