自己暗示

先週末、上司の指示で今流行の「ノロウィルス胃腸炎」について調べた。
ノロウィルスとは、カキなどの二枚貝保有するごくありふれたウィルスである。(そのため、生ガキを食べる機会の多い冬に多く発生する。)食品中では増えないが、人体内で爆発的に増殖し、糞便として排出されたものが他に感染する。感染力は非常に強く、ウィルス百個程度からでも症状が出る場合がある。また、(トイレの後よく手を洗わなかった)人→器具→(無実の)人という感染経路も充分に考えられる。そのため、食品調理に携わる者がこのウィルスを持っていると、大規模な食中毒を発生させる要因となる。
主な症状は、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱(38℃以下)など。比較的症状は軽く、通常は2日程度で治るが、まれに1日20回程度の激しい下痢をすることがあるため、油断は禁物。症状が治まっても、その後1週間程度は便にウイルスが排出される可能性がある。
通常ならば致死性が高いものではない(健康な大人なら、風邪のような症状が出る程度で済む)が、体力や抵抗力の弱った高齢者や、免疫が十分に備わっていない乳幼児にうつると厄介である。


と、これくらいを空で言えるほどみっちり調べた。
すると、その日の夕方から腹痛になった。尾篭な話で申し訳ないが、腸の辺りがゴロゴロと唸り、「下痢警報発令」になっている。
まったくもって腹立たしい。元々腸が弱いということもあるが、下痢になる下痢する下痢ともなればということばかり考えていると、見事に軽度の症状が出るのだ。重篤ならば「マジで感染したかも」と心配するところだが、警報発令状態が長く続き、実際の症状は中々出ない。出ても大したことはない。一人「ミュンヒハウゼン症候群*1やってるようなものである。誰にも言わないけどね。
自己暗示に弱いのだ。わかってる。ぶつかると思えばぶつかるし、落ちると思えば落ちる。しかし、だったらもっと明るいことでも暗示が効いていいはずだ。
例えば……私はミス・ユニバース、私はミス・ユニバース……と念じる内に、顔が変わるとか。
私はきれい好き、私はきれい好き……と唱えると、掃除が面倒じゃなくなるとか。
玉の輿、玉の輿、と呟いていると、ウィリアム王子が迎えに来るとか。
(一部不適当な表現がありますが、そのままにしておきます。)
よーし、これからは何はさておき明るい自己暗示に心血を注ぐことにしよう!


ところで、非科学的なことを信じ込む性格も、自己暗示でどうにかしたいものである。


ちなみに、ノロウィルスによる食中毒の予防法は下記の通り。
1:カキやアサリを生で食べない。
 もったいないけど、中までしっかり火を通せば大丈夫。
2:石鹸で手を洗う。
 アルコールや逆性石鹸*2はこのウィルスに効かない。トイレの後、調理の前にはしっかり石鹸で手を洗おう。
3:疑わしいなら台所には立たない。
 二次感染を防ぐため、心当たりがある時は調理をしないこと。家族に患者(または疑い例)がある時も、調理器具を清潔に扱うよう注意する。症状が消えても、便の中のウィルスが消えるまでには時間がかかる。継続して注意すること。
4:粗相を素手で触らない。
 一生徒の嘔吐物から学校全体に感染した例もある。患者の吐いたものなどを処理する際は、ゴム手袋などを使用し、拭き取った雑巾等はビニール袋に密封して捨てること。ゴム手袋も廃棄が望ましい。


下痢すると疲れるから、気をつけましょう。ああ、ハライタ。

*1:病的詐病、慢性虚偽性障害、病院放浪者。通常、急性で大げさで最もらしい病気を繰り返し偽造して、病院から病院へと治療を求めてさまよう症候群のこと。自身を傷つけたり病気を装うことで周囲の関心をひこうとする行為を含む。

*2:一般に界面活性剤は水になじみ易い部分と油になじみ易い部分から成っている。通常の石鹸は、油になじみ易い部分を含む構造全体が電気的に負(マイナス)の性質を持っているが、逆性石鹸は、それとは逆に電気的に正(プラス)の性質を持つため逆性石鹸と呼ばれる。逆性石鹸は石鹸と違ってほとんど洗浄力はないが、逆に強い殺菌力を持つ。代表的な逆性石鹸には塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムがある。