くじ

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くじ (異色作家短篇集)
シャーリイ ジャクスン Shirley Jackson 深町 眞理子
早川書房 2006-01
評価

by G-Tools , 2007/07/21

内容(「MARC」データベースより)
町中の人が集う広場で行なわれるくじ引きで、いったい何が決まるのか-。表題作「くじ」のほか、人間の残酷さを抉り出し、読む者を狂気の世界へ誘う21編を収録した短篇集。

「酔い痴れて」 The Intoxicated
「魔性の恋人」 The Demon Lover
「おふくろの味」 Like Mother Used to Make
「決闘裁判」 Trial by Combat
「ヴィレッジの住人」 The Villager
「魔女」 The Witch
「背教者」 The Renegade
「どうぞお先に、アルフォンズ殿」 After You, My Dear Alphonse
「チャールズ」 Charles
「麻服の午後」 Afternoon in Linen
「ドロシイと祖母と水兵たち」 Dorothy and My Grandmother and the Sailors
「対話」 Colloquy
「伝統ある立派な会社」 A Fine Old Firm
「人形と腹話術師」 The Dummy
「意味の多様性の七種類」 The Seven Types of Ambiguity
アイルランドに来て踊れ」 Come Dance with Me in Ireland
「もちろん」 Of Course
「塩の柱」 Pillar of Salt
「大きな靴の男たち」 Men with Their Big Shoes
「歯」 The Tooth
「ジミイからの手紙」 Got a Letter from Jimmy
「くじ」 The Lottery
人間、ちょっと不調の時に読んではいけない本がある。多分、「くじ」はそんな本のトップに来る一冊だと思う(ジョナサン・キャロルが次点くらい)。日常のなんでもない情景が、ふとしたきっかけで悪魔的様相を呈したり、普通に見える人々が理解不能な行動を取ることで起こる事件を描いた短編集。意表を突かれるのを好む私ではあるが、次々に訪れる裏切りと絶望にはぐったり疲れてしまった。
表題作「くじ」の背筋が寒くなるようなストーリーは有名だが、是非それ以外の物語もオススメしたい。ただし、気力・体力に溢れ、「あっち側」に引きずり込まれぬ精神力を備えた方のみお試しのこと。
私が一番ぞーっとしたのは、「チャールズ」。その理由は、これが「野蛮人との生活」に収められた一篇だったから……実話?