バルカン超特急
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それから××年(勘定するとユウウツになるので放棄)。ようやく見ることができた。そして、実に満足した。★★★★☆
本作は1939年の作である。私の母より年上だ。よって、以降若干ネタバレとなることをお許しいただきたい。
ヨーロッパの架空の小国、バンドリカ。前日雪崩で運行を停止していた大陸横断列車が出発する。乗客が泊まっていた山荘に絞殺死体を一つ残して。
婚約者に会うためロンドンへと向かうアメリカ人女性は、列車内で同室の老婦人ミス・フロイの姿が見えなくなったことに気付く。停車はしていないから、降車したはずはない。それなのにどこを探しても見当たらず、その上乗客も乗務員も誰一人そんな婦人は乗っていないと言う。ミス・フロイは彼女の妄想なのか?
しかし、食堂車でミス・フロイがいたはずの席に座ると、窓ガラスに先程彼女が書いた「FROY」という文字が浮かび上がる。外に捨てられたゴミに、ミス・フロイが飲んでいたお茶のパックが混ざっている。彼女を気遣うイギリス人青年とともに貨車を調べると、彼女の眼鏡が割れて落ちている。妄想なんかではない。彼女は存在するのだ。今も、この疾走する列車の中に。
目配せしあう乗務員達。包帯で顔を覆われた患者と、それに付き添うハイヒールの尼僧。患者を搬送する医者。手品師と陰険な目つきの男爵夫人。不倫のカップル。早くイギリスに戻ってクリケットの試合を見たい一心の二人組。みんな怪しい……。
心地いいスピードで疾走するプロット、魅力的な探偵役(アメリカ人女性を演じるマーガレット・ロックウッドの可愛らしいこと!)、独創的な暗号、心温まるラストシーン……ヒッチコックは初期から既に完成した監督だったのだと知ることが出来る。
特に気に入ったシーンは、薬で意識を失わないためにアメリカ人女性が一生懸命体操をしているところと、イギリス人青年が最後に暗号を思い出せなくなるところ。
台詞としては、バンドリカの軍人が「私はオックスフォードに留学していました」と言った直後にイギリス人青年が軍人を椅子で殴り倒すのだが、その行為をとがめられて一言。「僕はケンブリッジだ。」
残念なことに、昨日は二回邪魔が入って前半部分の重要な箇所を見落とした。
まず、雪崩で宿泊することになった山荘での殺人事件の前に、読売新聞が来た(購読はしていない)。洗剤を置いていくというので、阻止しに玄関まで行かねばならなかった。(オートロックの意味がない!)
次に、ミス・フロイが失踪するシーンで、猫がウンチをした。(すぐ片付けないと、激しく不平を述べる。)
そんな訳で、かなり重要な部分を見逃しているのだが、それにも関わらず充分楽しめた。サスペンスとユーモアをこれほど巧みに融合させる技は、ヒッチコック以降誰かに受け継がれているのだろうか?ヒッチコックが好きで、なおかつ継承者をご存知の方がいらしたら、ぜひご教示願いたい。