チルドレン

チルドレン

チルドレン

最高!爽快!キモチイイ!
前日までフラストレーション溜めつつ長い物を読んでいた身としては、一日で読み終わるこの短さが実にうれしい。いやあ、いいねえ伊坂 幸太郎。ほんと、今更なんだけど。


「陣内さん」を強烈な脇役に据え、連作短編の形を取った(短め)長編小説。その他の登場人物も魅力的。
陣内さんはスゴイよ。「口から先に生まれた」という表現は、彼のために作られていたんだよ。自分以上に偉い人間を知らないし、その時最善と思うことを即座に実行するから、暴力も時には解決手段だし、嘘やその場限りの説教だって当然の人なのだ。更に、パンクロッカーでギタリストで……とにかくカッコイイのだ。
世界最強の脇役。身近にいたら、これほど迷惑な人もいないでしょうが。


あなたが伊坂 幸太郎未経験者ならば、何も言わずに、まず本書を読んでいただきたい。
些細なことから始まるミステリが、見た目通りに進まずにいつしか解決する爽快さ。短編の枠を超えてまとまる一つの物語をご堪能いただけると思う。
学生時代を描く「バンク」「レトリーバー」「イン」、お役所勤務の現在を描く「チルドレン」と「チルドレンⅡ」。交互に語られることで、最後に一つの小さな謎が解ける。
不覚にも、ある話では泣いてしまった。陣内さんに泣かされるなんて、本当に悔しい
文句なし。絶品。★★★★☆