CSI:科学捜査班 シン・シティ

CSI:科学捜査班 シン・シティ (角川文庫)

CSI:科学捜査班 シン・シティ (角川文庫)

我が愛する「CSI:科学捜査班」シリーズのDVDを販売する角川グループが、幅広い関連会社の利を活かして売り出した(?)同シリーズの小説版である。
作者マックス・アラン・コリンズは、映画やTVシリーズのノベライズを多く著している作家だが、決して提灯持ち作家というわけではない。数度ものシェイマス賞、エドガー賞の栄誉に輝く実力派であり、また、映画の原作(「ロード・トゥ・パーディション」など)でも知られている。
しかし、本シリーズに関して言えば……実力ある一ファンという印象である。CSIラブ!な余り、萌え小説を書いて自費で同人誌を出しちゃった〜というところ。TVシリーズを見慣れている人には、登場人物の一人一人が生き生きと思い浮かべられることだろう。ドラマを見たことのない人には……どうなんでしょう?


CSI:科学捜査班」は、2000年にアメリCBSで始まったTVシリーズである。放送開始以来熱狂的なファンを獲得し、高視聴率を維持、現在ではスピンアウト企画である「CSI:マイアミ」「CSI:ニューヨーク」を含む三本が放送されている。
初代「CSI:科学捜査班」の舞台は、ネヴァダラスヴェガス。欲望渦巻くこの町の警察は、全米第二位の規模を誇る科学捜査班を擁している(一位はどこなの?と思っていたら、クワンティコのFBIアカデミーだった)。

主人公はここで夜のシフトに入るチームの主任、ギル・グリッソム(ウィリアム・ペーターゼン/写真前列中央)である。
チームは5人の科学者によって構成されている。
昆虫オタクで、「レース用のゴキブリ」を可愛がっている変人にして、恐るべき冷静さと知識、薀蓄を誇る格言好きのグリッソム。特殊技能は昆虫学(entomology)。
元ストリップ・ダンサーという異色の前歴の、一児の母キャサリン・ウィロウズ(マージ・ヘルゲンバーガー/写真前列右)。特殊技能は血痕分析。
美しい瞳と、ギャンブルに溺れた過去を持つウォリック・ブラウン(ゲイリー・ドゥーダン/写真後列左から二人目)。特殊技能はオーディオ・ヴィジュアル分析。
陽気な外見の中に、生真面目で繊細な心を隠し持つニック・ストークス(ジョージ・イーズ/写真後列右から二人目)。特殊技能は毛髪・繊維分析。
明晰な頭脳、決してへこたれないタフな精神、そして誰にも見せないナイーブな心を持つサラ・サイドル(ジョージャ・フォックス/写真後列右から三人目)。特殊技能は元素分析。
彼等の脇を固め、時にそれ以上の印象を残す人々も魅力的だ。
明るい検死官アル・ロビンス(ロバート・デヴィッド・ホール/写真前列左)。
派手なシャツに身を包んだお調子者の科学研究員、グレッグ・サンダース(エリック・スマンダ/写真後列右)。
そして、むっつりとした外見に似合わず、時折口にするジョークがたまらない、殺人課のジム・ブラス警部(ポール・ギルフォイル/写真後列左)。
彼等は緻密な科学捜査と最先端の技術を用いて、ヴェガスでおきる数々の難事件の解決に当たる。
人間臭いこの人々が織り成すドラマは、毎回一話完結で綴られる。日本では、DVDを第二シーズンまで発売、現在第四シーズンをWOWOWにて放映中である。グリッソムの腹は膨らみ、ニックのおでこは広くなっているが、面白さは未だ衰えを知らない。


小説の方は、ドラマの設定をそのまま用いつつ、オリジナルエピソードが語られる。
15年の歳月を経て繋がる殺人事件と、ある暗殺者の正体を探る「ダブル・ディーラー」。ドラマファンには馴染み深いある人物の登場に、思わずニヤリ。
ストリップダンサーの殺害事件と、失踪した敬虔なクリスチャンの妻を捜し、堕落したその夫を疑う事件の二つを扱う「シン・シティ」。
双方、TVシリーズのキャラクタの魅力を充分に活かし、かつ新しい側面を見せている。両方とも★★★★☆。ドラマ未見の方にもオススメしたい。(そして、どう読めるのかを知りたい。)
私も書いちゃおうかな〜。グリッソム萌え話とか!