実家に帰らせていただきます



 もう戻って来てますが。
 自宅の室内工事が入るため、先週末私の実家にかん子さんと二人で避難していました。(うららは移動する方がストレスなので、隠れ場所を用意してお留守番。)金曜の夜に車で出発。私は出産後初の遠出。かん子は産まれて初めての長距離移動。高速道路上の明滅する光に興奮したのか、その夜は大きな声で泣いて中々寝付きませんでした。


 さて、予定では日曜日には工事が終わり、その夜には家人が迎えに来てくれるはず。しかし、行きの車の中で家人が急に言い出す。
「もしご両親が許してくれるなら、もっと長く滞在してきてもいいんだよ」
 「別にいいよ」
「君も休めるし、ご両親はかん子と過ごせて親孝行にもなるし」
 「別に疲れてないからいいよ。うららのゴハンも心配だし」
「それは大丈夫だから」
 「オムツも日数分しか持って来てないし」
「きっとお母さんが『オムツなんて買えばいいのよ!』って言うよ」


 土曜日の夜。かん子さんを寝かしつけ、両親とまったり過ごしていた。母が言い出す。
「明日帰るの?もっと泊まっていったら?」
 ……おや?誰かがこれを予言していたような気がするぞ。
 「いや、服もオムツも日数分しか持って来てないから」
「洗濯すればいいじゃない。オムツは買って来るわよ!
 ……なんでこうなるって分かったんだろう?
 そんな訳で、翌朝家人に電話した。
 「……って言ってるんだけど」
「だからそう言ったじゃん」
 そして、母はパンパースウルトラジャンボサイズ(Mサイズ・100枚入り)を買って来て、私たちは水曜夜まで実家に滞在することになったのだった。


 かん子は家人両親にとっては三人目の孫だが、私の両親には初孫である。私にとっても、自分の親が「祖父母」になるのは初めてのことだ。あの人たちが、あんなにデレデレになるとは知らなんだ。家人は義姉の例を見て、それを知っていたのだろう。
 だが、私の両親はそーいえばうららにもデレデレだった。あんなに愛想の悪い猫にも弱いんだから、相手をしてやると笑顔でバタバタする生き物に参るのなんて当然の帰結である。推理できなかったのが悔しい。


 上げ膳据え膳に早寝遅起き、家事もせず、座って読書ばかりしていたら……太った。楽させてもらうのも考え物である。