10ドルだって大金だ

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10ドルだって大金だ
ジャック・リッチー 藤村 裕美 白須 清美
河出書房新社 2006-10-13
評価

by G-Tools , 2007/05/03

【内容(「BOOK」データベースより)】
結婚三か月、そろそろ妻を殺す頃合だ―財産目当てに妻殺しを計画する男を待っていた皮肉な展開をオフビートなユーモアをまじえて描く「妻を殺さば」、銀行金庫の中の“余分な”10ドルをめぐって二転三転する「10ドルだって大金だ」、迷探偵ターンバックル部長刑事シリーズなど、巧みなツイストと軽妙なタッチが冴える短篇ミステリの名手リッチーの傑作14篇。

「クライム・マシン」に続く、我が愛するジャックの翻訳短編集第二弾。前作で登場した「探偵カーデュラ」の転職話が1篇、また新たなキャラクタ、探偵ターンバックルものも3篇収録されている。
もうね、何も聞かずにただ読んでちょうだい。「結婚して三か月、そろそろ、妻を殺す頃合だ。」というスバラシイ一文で始まる「妻を殺さば」を皮切りに、人の悪意がコミカルに描かれる全14編を、あなたはきっととめどなく読み切ってしまうだろう。私が気に入ったのは、ヒキコモリの幸福を描いた「世界の片隅で」と、ターンバックル氏の活躍を余すことなく楽しめる「誰も教えてくれない」の2篇である。
読みやすさに関しては折り紙つきである。なんなら今から私が鶴を折るから、それをお送りしてもいい。短編ミステリを愛する人必読の書。読もうね。