新エドガー賞全集

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新エドガー賞全集
マーティン・H. グリーンバーグ Martin H. Greenberg 田口 俊樹
早川書房 1992-06
評価

by G-Tools , 2007/07/21

内容(「BOOK」データベースより)
アメリカ探偵作家クラブがミステリの発展に寄与した各分野の優れた作品に対して栄誉を与えるエドガー賞。本書はそのうち1981年から88年までに最優秀短篇賞を受賞した作品を年代順に網羅したアンソロジーである。フレデリック・フォーサイス、ルース・レンデル、ローレンス・ブロックをはじめとする、現代ミステリ界最高の作家たちによる多種多彩な短篇を結集したファン必携の書。『エドガー賞全集』待望の続篇。

 エドガー・アラン・ポーの名を冠しただけのことはあって、全ての作品が謎解きではなく、謎や死、あるいはそれに関わる人々を描いている。時代の流行などに左右もされているだろうが、中々粒揃いである。
1 【1981年】 エミリーがいない (ジャック・リッチー)★★★★☆
 I love you, Jack.言わずと知れた、人を食った傑作短編。
2 【1982年】 アイルランドに蛇はいない (フレデリック・フォーサイス)★★★★☆
 とても面白かったので、後日これが収録された短編集を読んだ。
3 【1983年】 女ともだち (ルース・レンデル)★★★☆☆
 男嫌いに捧げる一篇。興味深く、油断ならず、そして哀しい。
4 【1984年】 夜明けの光の中に (ローレンス・ブロック)★★★★☆
 私は短編作家としてのブロックの大ファンである。これも、何度読んでも切ない気分になる、アル中探偵スカダーものの秀作。
5 【1985年】 稲妻に乗れ (ジョン・ラッツ)★★★☆☆
 胃弱探偵アロー・ナジャーものの一篇。主人公の哀愁にはピンと来ない(長編シリーズものの主人公の短編だけを読むと、時々こういうことがある)が、孤独な女の罪と罰を描く筆致は中々。
6 【1986年】 ピントン郡の雨 (ロバート・サンプスン)★★☆☆☆
 全然ピンと来ない、人がバタバタ死ぬ話。ノワールものの流行期だったのか?
7 【1987年】 ソフト・モンキー (ハーラン・エリスン)★★★☆☆
 主人公の疎外感と孤独、そして徹底した自由が胸を打つ小品。読むのが辛くて★一つ減。
8 【1988年】 映画館 (ビル・クレンショウ)★★☆☆☆
 こちらもピンと来ない、「群集の暴力」もの。時代背景を反映しているのかな?