精霊の守り人

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精霊の守り人
上橋 菜穂子
新潮社 2007-03
評価

by G-Tools , 2007/07/29

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30歳の女用心棒バルサを主人公に、人の世界と精霊の世界を描いたハイファンタジー野間児童文芸賞新人賞・産経児童出版文化賞ニッポン放送賞・路傍の石文学賞を受賞した作品で、『闇の守り人』『夢の守り人』『神の守り人(来訪編)』『神の守り人(帰還編)』と続く「守り人」シリーズの第1弾。
100年に一度卵を産む精霊〈水の守り手ニュンガ・ロ・イム〉に卵を産みつけられ、〈精霊の守り人〉としての運命を背負わされた新ヨゴ皇国の第二王子チャグム。母妃からチャグムを託された女用心棒バルサは、チャグムに憑いたモノを疎ましく思う父王と、チャグムの身体の中にある卵を食らおうと狙う幻獣ラルンガ、ふたつの死の手から彼を守って逃げることになるのだが・・・
水の守り手とは何なのか? 夏至祭りに隠された秘密とは? 多くの謎を秘めて、物語は人間の住む世界「サグ」と精霊の住む「ナユグ」の問題へと発展していく。精霊世界の存在や先住民族ヤクーの民間伝承など、古代アジアを思わせる世界の記述の細かさ、確かさは、文化人類学者である作者ならでは。
バルサを筆頭に、みずからの運命を呪いながらも逞しく成長していくチャグム、おてんばバアサンの呪術師トロガイ、バルサの幼馴染みのタンダなど、登場人物のキャラクター設定には魅力があふれている。オトナの純愛物語、少年の成長物語としても深い味わいを残す本書は、子どもたちだけのものにしておくには惜しい1冊。(小山由絵)

シリーズ物の一作目のせいか、やや尻切れというか物足りない終わり方。物語の詳細な設定や、魅力的な人物造形(特にバルサ)、躍動感溢れるアクションシーンを堪能して、「これでオシマイか!もっと読みたいなあ」と思った次第。
子供向けという印象は余り強くない。というか、これを大人向けにするとどうなるんだ?暴力描写が激しいとか、暗殺者が何故か巨乳でやたら脱ぐとかか?現状で充分読み応えあるぞ。
姉に借りた一冊。おねーちゃん、次も読みたい。