「図書館」祭

出版社 / 著者からの内容紹介
相も変わらず図書館は四方八方敵だらけ! 山猿ヒロインの両親襲来かと思いきや小さな恋のメロディを 叩き潰さんとする無粋な良化「査問」委員会。 迎え撃つ図書館側にも不穏な動きがありやなしや!? どう打って出る行政戦隊図書レンジャー! いろんな意味でやきもき度絶好調の『図書館戦争』シリーズ第2弾、ここに推参!
――図書館の明日はどっちだ!?

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図書館危機
有川 浩
メディアワークス 2007-02
評価

by G-Tools , 2007/08/11

内容(「BOOK」データベースより)
有川浩図書館戦争』シリーズ最新刊!!図書館は誰がために―王子様、ついに発覚!山猿ヒロイン大混乱!玄田のもとには揉め事相談、出るか伝家の宝刀・反則殺法!―そしてそして、山猿ヒロイン故郷へ帰る!?そこで郁を待ち受けていたものは!?終始喧嘩腰でシリーズ第3弾、またまた推参。

図書館戦争」に続く、シリーズ2作目と3作目を続けて読んだ。相変わらず読みやすい。そして、ひじょーに安心できるお約束の展開と、ベタベタの控えめラブストーリーである。
強くかっこよくありたいけど、泣いたら甘えさせてほしい。クールでいたいけれど、「作っていない本当の自分」を分かってほしくもある。そんな矛盾を当然のように抱える典型的ティーンエイジャー(及び、その頃の不器用な自分を忘れられない大人たち)の心を掴む手腕はさすがである。でも、最近オバサン化が進んでいる私は、ちょっと飽きた。
例えば、「内乱」第二章「恋の障害」及び、「危機」第一章「王子様、卒業」に見られる、「弱者に対する卑怯な行為」というエピソードの扱い方である。そういうことに憤る心情は充分に理解できるが、そのシチュエーションを「義憤」というカタルシスを得るために作っている、というのが透けて見えるのが今一つなのだ。状況を設定するためだけに苦しむ登場人物がいて、一方的な悪として描かれる者がいて、読者の代理としての主人公達がそれを解決する。誰も反論できない正しい被害者に同情し、どんな読者も同情できない加害者に怒りを覚え、主人公達がそれを痛快に懲らしめる様子を楽しむ。娯楽作品として正しいストーリーなのだが、それを素直に受け入れることができないというのは、作者の力量不足なのか、私の精神の硬直化なのか、まあその両方だろうな。
とか文句言いつつ、最終巻となる次作を楽しみにしている。結局、私もティーンエイジャーの頃の恥ずかしい自分を覚えていたいのだろう。