捕食者の貌

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捕食者の貌
トム サヴェージ Tom Savage 奥村 章子
早川書房 2001-08
評価

by G-Tools , 2007/08/18

内容(「BOOK」データベースより)
華やかな復活祭の日、殺人鬼ファミリーマンは、子供の喉を切り裂き、一家の主の首を切断した―ミステリ作家のマークは、この5家族24人惨殺事件を題材にした小説で読書界の話題を独占した。その彼の元に突如謎のフロッピーが届く。中には「殺人鬼の正体を暴くゲームをしよう」との言葉が。誘われるままにマークは指示に従うが、そこには無限の罠が…リセットのきかない悪夢のゲームが展開する、現代的なサスペンス。

ジェフリー・ディーヴァーが絶賛したサスペンス!というアオリ文が添えられているのだが、それも納得の、どんでん返しがメインの作品である。というか、ディーヴァーが褒めてるってことは、一筋縄では行かない展開になるのが予想できるよね……。あんまり褒めるな、ジェフリー。
ゲームを仕掛けてきた「スカベンジャー」は、マークをアメリカ中引きずり回し、思わせぶりな真実の断片をチラチラ見せつつ、死体の山を築いていく。その一方で、明かされていくマーク自身の隠された過去。息をも吐かせぬ展開で、読者をローラーコースターのようなミステリーに引きずり込む。その行き着く先にあるものは……?
ということで、読んでいる間は面白いのだが、最後まで行くと……うーん、「あー面白かった!」と素直には言えない出来である。なんちゅーか、最後にまとめて明かされる謎などに、「それは都合良すぎるだろう!」という仕掛が多過ぎるのだ。最後のオチがアイデアとして先行していて、ストーリーがそこにたどり着くために作られるために、総合的に無理がある印象になるのだと思う。ディーヴァーも完璧ではないが、彼に同じストーリーを扱わせたら、もう少し納得できる技を使いそうである。ちょっと残念な★3つ。