愛をこめて、ヴァレンタイン

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愛をこめて、ヴァレンタイン
トム サヴェージ Tom Savage 奥村 章子
The Mysterious Press 1997-01
評価

by G-Tools , 2007/08/18

内容(「BOOK」データベースより)
不気味なヴァレンタイン・カードが送られてきた日から、人気ミステリ作家ジリアンは恐怖にさいなまれ始めた。彼女は私立探偵に調査を依頼するが、今度は身の毛もよだつプレゼントが届けられ、彼女が診察を受けていた精神分析医が惨殺された。やがて犯人が明らかになった時、さらなる恐怖が!『崖の家』の著者が練りに練ったプロットで描く傑作サスペンス。

ちょっとネタバレしてます。ご注意ください。
最初から言っちゃうが、駄作である。倒叙ならともかく、サスペンス仕立てのミステリなのに、本当の犯人が30ページ過ぎに分かってしまうのだ。「だったらそいつしかいないじゃん」という条件が、さらっと明かされているのだ。読み慣れた読者なら、頭の上に矢印が見えそうなくらいである。まさか作者の意図したものではあるまい。後は、ヒロインはいつこいつが犯人だって気付くのかなーというところにわくわくしつつ読み進めることになった。作者の狙ったポイントではないが、それでも面白く読めたのだから、ミステリとしては駄作ながらそこそこ面白かったと言えよう。がんばりましたね、の★3つ。
女性の主人公が命を狙われるというストーリーでは、最後に彼女を救った男性と恋に落ちる、または恋に落ちそうな様子を匂わせて終わるパターンが多い。本作が例外的なことに、彼女はその男性とは恋に落ちそうもない。その辺りのひねりも中々楽しめた。