理系に憧れている私が最近読んだ本

人間を理系文系に分けたがるのは、世界広しといえども日本人だけだと聞いたことがある(「**人だけ」と言いたがるのは世界共通の自己顕示欲なのかもしれないが)。そんな訳で、典型的日本人気質の私が自身を分類するならば、迷うことなく文系人間である。九九までは順調だった。記憶力は並なのだ。躓きの石は負数だった。「-1」が「0」より少ないことがクラスでたった一人どうしても理解できず、それ以降は算数、数学、数字を扱う理科系の学問と仲良くできぬままである。(何もないゼロが、「一つ少ない」という事実が存在するマイナス1より大きいとはどういうことだ?だってゼロは「一つ少ない」という現象すらない、全くの無なんだよ。完全な無を超える少なさなんてあるものか、と小学生の私は思ったのである。思い返すと、かわいそうで涙が出るよ。バカな上に頑固すぎる。)
しかし、多くの文系人間がそうであるように、私もまた理系の頭脳やセンスに憧れを抱いている。生まれ変わったら物理学者になりたい。何するんだかよう知らんけど。
しかし、苦手分野に近付くと、自分の不出来が見えてイヤになるので、遠巻きに眺めるのみである。そんな私の理系覗き窓は、SF小説や科学エッセイ、そして「ど文型にも分かる」みたいな簡単な解説本だ。たまに「よーし、いっちょ賢くなるぞ」と張り切ってそんな本を読み、挿入されるエピソードや、興味深い豆知識を仕入れて悦に入っている。実の所は、「女心が分かる」とかいう怪しげな記事を読んで、「これでモテモテだな」とか勘違いしている人と大差はない。依然として、理数センスは私の頭の中の荒地に散乱したままなのである。まあ、それでも知らない世界を垣間見るのは面白いものだ。