上と外


内容(「BOOK」データベースより)
両親の離婚で、別れて暮らす元家族が年に一度、集う夏休み。中学生の楢崎練は小学生の妹、母とともに、考古学者の父がいる中央アメリカのG国までやってきた。ジャングルと遺跡と軍事政権の国。そこで四人を待っていたのは「軍事クーデター」だった。離れ離れになる親子、二度と会えないかもしれない兄と妹!密林の中の謎の遺跡と神秘の儀式。絶え間なく二人を襲う絶体絶命のピンチ。ノンストップの面白さで息もつかせぬ1350枚。



★★★☆☆

  • 飢え、渇き、暑さinジャングル。勘弁してくれという状況の福袋。サバイバルものを読んでいると、ぐったりするひ弱な私は、本作でもすっかり疲れてしまった。しかし、そこは恩田陸。疲れても、ページをめくらずにはいられず、あっという間に上下巻を読み終えてしまった。
  • 不満は、前半の家族の問題とジャングルでのサバイバルが、後半の「謎の儀式」よりずっと大変そうに思えるところ。ジャガーが出てきた時は、どうなることかと恐怖したが、結局は飼いならされた獣で、普段は声が大きいだけってのがなあ。
  • 全作品を読んではいないが、恩田陸作品にはセックス&バイオレンスがとても希薄なように思える。(同じことを宮部みゆきにも感じる。)だから物足りない、ではなく、そういった分かりやすい刺激的要素を排することで生まれる緊張感のようなものを狙っているのだろうけれど、それで物理的極限状況を扱うのは中々難しいのかなあ、と考えながら読んだ。
  • 一番怖いのは火砕流ってことね。異議なし。
  • ニコが「いいお嫁さんになれる」という練の言葉に不快そうな様子を見せる、というシーンから、てっきりニコは少女なのだと思い込んでいた。最後の最後に明かされるんだろうなーわくわく、と勝手に期待していたのだが、全然そんなことはなかった。千華に名前を聞かれた時にも「つかのま、沈黙」があったから、こりゃ鉄板だと思ったんだけどなあ。ニコラスじゃなくてニコル、とか。