サンタクロースにインタビュー


【内容紹介】
苦いけど 甘い、
甘いけど 苦い。


ケストナー 珠玉の短編集


「それで僕がとても知りたいのは、一年の残り、あなたがなにをしているのか、ということなんです」
サンタのおじさんは、かなりたまげた様子で僕を見つめた。
――本文より

★★★☆☆

  • ケストナーは児童文学以外読んだ事がなかった。子供の頃は「五月三十五日」、「ふたりのロッテ」、「点子ちゃんとアントン」が好きだった。今は「飛ぶ教室」が好きで、毎年クリスマスになると読み返している。それ以外の時季にも読んでるけど。(年中読んでるのだ。)そういった作品に見られる「ケストナーらしさ」は勿論あるのだが、それ以上に切なくシニカルな作品が多い。解説に挙げられている通り、母親と息子の絆を描いたものが多く、父親の不在が目立つのも特徴か。
  • タイトルと表紙絵にほのぼのしたものを感じたのだが、実際の表題作は……まるで異なるものだった。うーん、肩透かし。
  • 解説にあった、ケストナー出生の秘密(ユダヤ人の顧問医が実の父で、不倫の末の子だった)に驚いた。革職人の父を描いた「わたしが子どもだったころ」が本当にフィクションだったとは……正直、収録作品のどれよりも衝撃的だった。このことについては、ケストナー作品の邦訳で知られる高橋健二氏による下記著者に詳しいとのこと。