ダイアルAを回せ

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ダイアルAを回せ (KAWADE MYSTERY)
ジャック・リッチー
河出書房新社 2007-09

by G-Tools , 2008/02/03

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
互いの殺人計画を練る夫婦、謎の行動を繰り返す爆弾男。夜の探偵カーデュラや迷刑事ターンバックルも登場。短篇ミステリの名手が贈る傑作15篇。

収録作品

正義の味方/政治の道は殺人へ/いまから十分間/動かぬ証拠/フェアプレイ/殺人はいかが?/三階のクローゼット/カーデュラと盗癖者/カーデュラ野球場へ行く/カーデュラと昨日消えた男/未決陪臣/二十三個の茶色の紙袋/殺し屋を探せ/ダイアルAを回せ/グリッグスビー文書

★★★★☆
愛するジャックへ。
去年出た短編集読みました。相変わらず面白くて、没頭してしまいました。
特に好きなのは、ヒッチコック劇場で映像化もされたという「いまから十分間」(ドラマも見てみたいものです)、短くてにやりとさせられた「動かぬ証拠」、ターンバックルの口惜しさがよく分かる「ダイアルAを回せ」です。「いまから」はそのトリックに、「動かぬ」と表題作は、その短さの中に美しく閉じ込められた物語の構成に感心します。
それとは別に、「三階のクローゼット」を読んで、前作「10ドルだって大金だ」に収録されていた「世界の片隅で」を思い出しました。「世界の」はこれと言った刺激的な要素があるのではなく、主人公の安住する不思議な環境が魅力的な短編でした。「三階の」もまた、世をすねた人間のたどり着く安らぎを描写しています。あなたは小気味いいぱりっとしたミステリや、冷静に無慈悲な行為をする人間を多く描いていますが、実際にはこういった作品により共感する人ではないか、私はそんなことを空想しています。
そうそう、カーデュラのシリーズも変わらず面白かったですよ。副業はやらずに、マジメに探偵稼業に勤しんでいましたね。今までに読んだものよりも、カーデュラが働き者になっているように感じて、それもまた楽しかったです。
まだまだ寒い日が続くようですから、お体に気をつけて。(私はしもやけになってしまいました!)あなたが25年前に亡くなっているのは知っていますが、それでも寒さに気をつけるのは悪いことではないでしょう?それでは、また次の短編集を楽しみにしています。
LOVE Kirin