短評:スカイジャック

スカイジャック (角川文庫)スカイジャック (角川文庫)
トニー ケンリック Tony Kenrick

角川書店  1974-09
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内容紹介/Amazonより
 三百六十人の乗客を満載したジャンボ・ジェット機が忽然とかき消えた!その直後、二千五百万ドル相当のダイヤモンドを要求する手紙が舞い込んだ。航空会社とFBI、それに州警察が調査に乗り出すが、手掛かりはナシ。そこにさっそうと登場するのが、若き弁護士ベレッカー。ただし開店休業中。そして元妻兼秘書のアニー。二人が航空会社の友人から、この事件を耳にしたのが運のつき。十万ドルの報奨金めあてに、素人探偵よろしくうろちょろするうち、事件の深みにまきこまれ―そして最後には、あっと驚く結末が…軽妙洒脱なユーモア・ハードボイルド。

360人の乗客を乗せたジャンボジェットが誘拐された。どうやって?どこに隠した?をメインに、元夫婦漫才のスラップスティック謎解きが始まる。策謀と偶然が物語を複層的に盛り上げて行く様を堪能した。終盤に明かされる犯罪の仕組も興味深いが、何より主人公二人の会話が楽しかった一編。
ディテールには時代を感じるが、古臭いというよりは、ノスタルジックである。男女関係も慎ましやかで、やってることは同じなんだけどなあ、と妙な感慨にふけった。実は、ちょっとだけ中だるみしたので、ケンリックの他の作品にパッと手を出さずにいるが、梗概を見ると面白そうなものが多い。いつかまた読むかも。