予告編を見比べて

以前、「コーラス」という映画を見て、reviewを書いた
その中で、「日本版公式サイトにある『ママに会いたい…。たった一つの願いを歌に込めた子供たちがフランス中のハートをつかみました。』というコピーは当たっていないと思う。」と書いた。外国映画を紹介する時に、日本の観客により訴える*1ように、「演出」がなされたのだろう。
今年、「幸せはシャンソニア劇場から」という「コーラス」のスタッフ・キャストによる映画を見て、予告編にも同様に、各国の編集と演出が行われるのではないか、と思い、比べて見た。
例えば、「コーラス」。原題「Les Choristes」。

コーラス メモリアル・エディション [DVD]コーラス メモリアル・エディション [DVD]

角川ヘラルド・ピクチャーズ 2005-12-22
売り上げランキング : 11452

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


日本版予告編は見つけられなかったが、公式サイトにある下記の紹介で、なんとなくテイストは予測できる。

「先生、ぼくたちの歌声は、ママに届くかな…。」 
たった一つの願いを歌に込めたこどもたちがフランス中のハートをつかみました。それは、聴くだけで涙があふれる不思議な歌声でした。 
1949年フランスの片田舎。貧しい親元を離れて寄宿学校で暮らす子供たち。誰も会いに来てくれない面会日、帰る家のない夏休み。悲しい目をした子供たちを校長先生は厳しくしばりつけていた。 
そんなある日、1人の音楽の先生がやってきた。先生は、さびしさをいたずらで紛らわす彼らを叱るかわりに、歌を教えてくれた。 歌うことで希望と無邪気な笑い声を取り戻す子供たち。その中に“奇跡の歌声をもつ少年”ピエールがいた。 だが彼は学校一の問題児だった…。 
美しくも切ない歌声の子供たちと、彼らの心を柔らかく抱きしめてくれた本物の先生との出会いに、世界中が感動の涙と拍手を送りました。

フランス版は、号令や怒号が打楽器や管楽器のように利用された、音楽的演出が心憎い。テンポの良さが魅力的だが、もっと淡々とした雰囲気かと思い込んでいたので、意外にクールで面白かった。


もっと意外だったのが、アメリカ版の「泣かせ」の演出である。台詞を一切排し、音楽と歌声に短いコピーを挟み、印象的な映像を絶妙の編集で繋ぐ。スタイリッシュで勢いのあるフランス版よりも好み。私はベタなのが好きなんだな…。
アメリ


「幸せはシャンソニア劇場から」原題「Faubourg 36」予告編。

幸せはシャンソニア劇場から [DVD]幸せはシャンソニア劇場から [DVD]

Happinet(SB)(D) 2010-04-23
売り上げランキング : 17199

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


印象的な映像と、音楽的台詞で効果的に演出されたフランス版予告。


時代の激動と、若い二人のラブストーリーに主眼を置くアメリカ版予告。


中年男の悲哀と、仕事に対する情熱、「音楽が人を幸せにする」というムードにあふれた日本版。私の好きな「Loin de Paname」*2が入っている唯一の予告編でもある。


アメリカ人は外国映画をあまり見ないと聞くが、これらについては、アカデミー賞ノミネートのフランス映画なので、アメリカ版予告も作られている。外国語映画賞ノミネート作品等でも比較可能かもしれない。

*1:だろうと配給側が信じる

*2:昨年度アカデミー歌曲賞ノミネート