フェニモア先生、人形を診る

フェニモア先生、人形を診る (ハヤカワ・ミステリ文庫)

フェニモア先生、人形を診る (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 同先生「墓を掘る」に続く第二作。老人と少年と田舎の殺人事件が好きな人(私だ!)におすすめの気軽な一冊。
 フェニモア先生は無欲な町医者。副業は探偵なので、近在の問題にちょくちょく関わっている。元従軍看護婦のドイル、個人的助手の少年ホレイショとともに、二つの仕事を頑張っている。
 そんな折、患者である老姉妹から気味の悪い相談を持ちかけられる。彼女達は、住居とそっくり同じドールハウスを持っていることで知られている。感謝祭で家族が集まった際、孫娘が食堂でスープ皿に顔を突っ込んで死亡した。恐ろしいことに、家族が集まる前から、ドールハウスにはその現場が真似られていたのだ。そして、ドールハウスの予告と殺人は続き、家族が次々に葬られていく……。
 はっきり言って、推理は重要じゃない。ミステリを読みなれた人には、途中でばっちり犯人が分かる。やり方も分かる。(その後「アレ?」と思うシーンも出て来るけど、オイオイという落ちで解決するし。)探偵のフェニモア先生は―ご本人も苦悩しますが―そりゃもう無能。家族がばんばん殺されて、もうこいつしかいないって、という状況でもまだ考えてる。兼業だし、病院の方が激務だし仕方ない……とも思うんだが、今回はドイルさんの方が大活躍。
 ほのぼのミステリにしては、ちょっと死体が多過ぎたかもしれない。★★★☆☆