フェニモア先生、宝に出くわす

フェニモア先生、宝に出くわす (ハヤカワ・ミステリ文庫)

フェニモア先生、宝に出くわす (ハヤカワ・ミステリ文庫)

穴を掘る、人形を診る、に続くフィラデルフィアの心臓外科医兼素人探偵のシリーズ第三作目。前回(人形を診る)が陰惨大量殺人だったのを反省したのか、今回こそ田舎のほのぼのミステリである。「宝島」のフレーズを差し挟みつつ、死体控え目で話は進む。
元患者の遺言で、田舎の湿地を遺産に貰ったフェニモア医師。添付された地図には、その場所に宝があるかのように匂わされていた。その土地は、かつて海賊が川を遡上して財宝を隠したと言われる場所でもある。じゃあ、その土地を見に行こう、とホレイショ少年とともに車を出すも、船でなければ近寄れない所にあるようだ。仕方がないから、近所に住む患者の家にでも寄ってみるか……と行った先からミステリが始まる。恐るべき寄り道の始まりだ。
立ち退きを要求されている旧家で、嫌がらせが相次ぐ。命に関わるような悪質なものもあることから、フェニモア医師はまたしてもドイル看護婦を現場に派遣する。一方ホレイショ少年は、ギャングの抗争に巻き込まれて怪我を負い、療養と避難を兼ねてやはり旧家に滞在することになる。さて、面子は集合したが、彼らは旧家を守れるのか?嫌がらせの犯人は誰なのか?目的は?そして、フェニモアが受け取った遺産に宝は存在するのか?さあ、どうなる……?
前作と違い、ほのぼのミステリを期待される方にもオススメできる一作。でも、相変わらず主人公以外の人の方が奮闘しているが。
医師お手製の東欧料理レシピも付いている。★★★☆☆
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