沈黙のあと

昨年「月の骨」に感銘を受けた後、初めて読むキャロルの作品である。
実は、感想は言えない。読み終えた今、ショックの余りなすすべもない。考えをまとめる努力すらできない。なぜ作者はこの物語を創作したのだろう。


これを読んで冷静に評価できる人はいるのだろうか。
幸福な家族が、ある嘘と秘密のために崩壊していく物語。最初の光り輝く家庭像の描写が実に素晴らしく、第三部からの転落とのギャップを思うとそれを恨めしく感じるほどである。また、最後まで読み終えて初めて、冒頭の献辞の意味が分かる。残酷な意味が。


小説家は神だ。
文字で世界を創り、生殺与奪の権を握り、人々を選んで主人公にしたり、幸福にしたり、不幸のどん底に突き落としたりもする。
私は今日残酷な神に出会った。これほど辛い物語に出会ったのは、初めてのことだ。


落ち込んだ。
次は何か明るくて軽いものを読みたい。
上昇気流に乗って元いた場所まで戻してくれるような。