シャーク・テイル


面白かった!
映画館の中であんなに何度も笑ったのは、「シュレック」以来だ。……てーことは、DreamWorksは私の笑いのツボをがっちり押さえてるってことだな。
そんな訳で、「シュレック」シリーズが好きな方には無条件でオススメ。
嫌いな人はやめておきましょう。監督や製作者のみならず、笑わせるポイントや傾向も一緒です。


<あらすじ>
舞台は海。場面は大きく二つに分かれる。色鮮やかな小魚などが住む明るい海と、サメとシャチが住むダークブラウンと白黒のマフィア海。
明るい海の様子は、ニューヨークのタイムズスクエアを思わせる。そこに住む若く無鉄砲なオスカー(ウィル・スミス)は、いつかビッグになって眩しい高層珊瑚礁マンションにリッチな居を構える夢を抱きつつ、「ホエール・ウォッシュ(鯨洗い場)」で鯨の舌磨きに従事している。ホエール・ウォッシュの社長は、レゲエな双子のシビレクラゲを用心棒に抱えるハリセンボンのサイクス(マーティン・スコセッシ)。同僚のアンジーレネー・ゼルウィガー)は、お調子者で社長に前借りばかりするオスカーを心配するだけでなく、彼に恋をしている……オスカーは彼女を「大親友」だと思っているのだが。その癖、競馬場で大金目当てに近寄るローラ(アンジェリーナ・ジョリー)の色気にはクラクラしてしまう。
一方、小魚たちを脅かすサメの住処が想起させるのは、「ゴッドファーザー」の世界だ。家族が集うのはマホガニーとくすんだ緑の絨毯のレストラン。集まるのはイタリアなまりのホオジロザメシュモクザメ、ネコザメ(ピーター・フォーク)、シャチ……そして何故か幇間(たいこもち)の間抜けなタコ。
マフィアのドン・リノ(ロバート・デ・ニーロ)には、二人の息子がいる。残酷なサメらしいフランクと、小エビ一匹殺せないベジタリアンのレニー(ジャック・ブラック)。マフィアの跡取りとしてレニーを鍛えたい父は、フランクに命じてレニーを「武者修行」に出す。折りしも社長に借金が返せず双子のクラゲにリンチを受けているオスカーに遭遇。「あいつを食え!」と兄に命じられたレニーだが、どうしてもできない。そこで業を煮やしたフランクがオスカーを追う途中、なんと船の碇が落下してきて、フランクは死んでしまう。
その場にいたオスカーは「サメ殺し」と誤解され、一躍時の人となってしまう。真実を知るレニーはマフィアの世界に戻りたくないために、オスカーの根城に家出。事情を知らないドン・リノは、兄弟が二人ともオスカーに殺されたと思い込み、彼を敵と追い始める……。


R&Bが好きな人には豪華なサントラが嬉しく、「ゴッドファーザー」が好きな人には様々なパロディーが効果的に使われていることが楽しいだろう。その他にも、実在のアメリカ(風俗や広告)をもじったものが多用される演出はウマイの一言。(こういうのをあざとく感じる向きもあろうかとは思うが。)
出演人は芸達者。自分の経歴を洒落のめすようなデ・ニーロの話法(「アナライズ・ミー」等でも見せるような)に笑い、スコセッシのめくるめく早口に魅了され、ウィル・スミスとジャック・ブラックの掛け合いに大いに笑った。役者の台詞入れが終了してから完成したという魚たちの絵もサイコー。それぞれの俳優のクセが誇張された表情や身振り手(ヒレ?)振りが素晴らしい。
特に、ミノカサゴの悪女を演じたアンジェリーナ・ジョリーの造形がいい。本人も「自分の顔より魚の方が好き。でも、そっくりでしょ!口も大きいし!」とお気に入りの様子。


お調子者の主人公が虚構のヒーローになって、でも本当に大切なものは何?というストーリーは、先も見えているし、ある意味使い古されて陳腐ですらある。しかし、それだけに安心して見ていられるし、心からゆったりした気分で笑うことができた。
舞台を珊瑚礁にしたことで、鮮やかな色合いと浮遊感溢れる演出が活きている。Yahooの映画評に「魚にする意味があるのか?」と書いている方があったが、じゃーおめーは何だったら「意味がある」と思うのさーと絡みたくなったよ。


しかし、首都圏では既に上映終了だったり、来週までだったりする。
我々が行った劇場にも、空席が目立った。興味を持たれたなら、是非お早目に。
私はオススメです。★★★★☆