はじめての妊娠・出産・育児―お母さんと赤ちゃんのための安心メッセージ





今に始まったことではないが、最近(特に)ぼけーっとしていた。開けたら閉め忘れ、出したら仕舞い忘れ、仕舞えばどこに入れたかを忘れ、几帳面な家人に小言を頂戴していた。
そして、先日恐ろしく気分が悪くなった。めまいが再発したのだろうか?食べ過ぎだろうか?そもそもさっき食べたアレの消費期限は大丈夫だったのか?などと色々考えるのも面倒なくらい不快である。真夏の猫のようにぐったりしている内に、ふと思い当たった。
これはもしや……世に言う「妊娠」なのでは?
手元に、数年前に買って未使用の「妊娠検査薬」があった。使ってみた。陽性だった。
しかし、未使用とはいえども古い商品である。三ツ矢サイダーかけても陽性になるかもしれん。念のため、病院で検査することにした。「妊娠してますよ」と言われた。この場合は、先生がいかに古そうに見えても信用すべきだろう。
そんな訳で、現在妊婦である。まだ初期なのでどう転ぶか分からないが、とりあえず転ばないように気を付けている。順調に行けば、予定日は来年二月。田村亮子と一緒である。それが全く嬉しくないのは何故だろう。


何をするにもまず本を読む私である。
猫を飼う前に飼育書を買い、旅行に行く前にロンリープラネットを熟読し、ドライブの前にはロードマップで行程を辿る。かような初めての事態に、適切な実用書を読まぬはずがない。早速、amazonでブックレビューを頼りに本書を購入した。
この本は、初心者向けを標榜するだけのことはあって、実に親切丁寧な作りになっている。
まず、巻頭は図解「安産エクササイズ」。そして、フルカラーの「おなかの赤ちゃんとお母さんの絵本」。妊娠から出産、育児までを通して描いている。これを読むだけでも、中々の勉強になる。てゆーか、読み物として単純に面白い。イラストも実にキュート。
本文では妊娠期間に合わせて章を区切り、その時期に発生しうる状況を詳細に(しかも分かりやすく)記述している。FAQやコラム、経産婦の体験談などを設けてあるのも大変結構である。
目的はただ一つ「妊婦を安心させる」こと。全編を通じて、大丈夫ですよ、安心なさい、リラックスして、のんびりしていなさい……という表現に満ちている。そのため、若干奥歯にモノが挟まったような印象を受ける箇所もあるが、問題はない。まじでシリアスなことを自己判断はできない。どっちみち、医者に聞かねばならないのだから。
経産婦からすると現実的ではない内容である可能性もあるが、今はこの本に頼ることにする。産後には、新たな評価ができるかもしれない。★★★★☆


今日、病院に行った。
超音波映像の中に、ちっこい奴がいる。もっとちっこい心臓が、ぱくぱくと拍動していた。
身長5ミリ。がんばれよ。