一番長い骨

最後の卒業式からもう10年が経つというのに、未だに「学校の夢」を見る。
バリエーションは様々だが、悪夢には幾つかの定番がある。当日試験があるのをその場で知る。遅刻しそうで焦っているのに、校内で道に迷う。朝の礼拝に遅れて向かったら、途中の廊下が真っ暗で怖い。木造の旧校舎で何かに追われてひたすら逃げる。何故か舞台はいつも高校だ。
そう悪くないものにも特徴がある。登場人物の多彩さだ。高校卒業以来会っていない同級生が制服姿の18歳で座る横には、今の友人たちが今の姿で席についている。女子校のはずだが、違和感なく男性も混じっている。何故か芸能人も同級生だ。おかしな状況ではあるのだが、見る度に懐かしさで胸が詰まる。現在と過去が手を取り合い、今の私を生かしているのだという感慨である。


先日、今までとは少し違うタイプの「学校の夢」を見た。
私は母校にいる。学生なのかと思いきや、教育実習生か新米教師らしい。同僚には現在の友人たちがおり、古参教師たちは存在を感じはするものの登場はしない。生徒達に存在感はなく、私たちは旧校舎の美術室で話をしている。話題はもっぱら「どうして今の生徒はあんなに大人しいんだろう」ということだ。(この夢はフィクションであり、現実の中学生・高校生とは関係ありません。)
「大人しい=扱いやすい」ではなく、「覇気や自己主張に乏しく理解しがたい」という論調で話は進む。そして、私が言う。
「なんであんなふうになっちゃったんだろう?」
同僚(友人)が答える。
ロックンロールが死んだせいか、誰かがその一番長い骨を髄まで砕いたせいだな。
「一番長い骨?」
そこでアラームが鳴り、目が覚めた。私は呟いた。
「大腿骨だ。」


何とも印象的な夢だったので、起きてすぐに私は友人の言葉を書きとめた。別にオチはないので、こういった文章にすることもないだろうと思ったのだが、夢に聞いた言葉をはっきりと覚えていることなど稀なので、記憶しておきたかったのだ。
数日後、その友人のブログにこんな文章が載った。

ロックが悪い意味でクラシック化している昨今、そりゃ若者の感覚とはずれていくでしょうね。本屋さんの音楽雑誌コーナーに行くと、「なんで僕が子供の頃と登場人物が同じなんだ?」とおかしくなって…いや、悲しくて泣きたくなりますホントに。団塊ジュニアとともに心中するつもりのように見えます>日本の音楽業界

http://kengo.tdiary.net/20050822.html
ええっと……予知夢?