あなたにオススメする物語
今年、私が読んだ本の総数は(だいたい)90冊。再読は含まず、今年初めて読んだものに限り、出版年は問わない。
中身は玉石混交ではあるが、全体的に「アタリ」が多い年であったように思える。特に、何を読めばいいか分からぬ「読書スランプ」に陥った際にいただいたアドバイスには、大いに助けられた。深く感謝。
もう一つ自分なりの特色を挙げるとすれば、今年は「国産」の小説を例年以上に多く読んだ。なんと、読書履歴の7割近くが日本人作家の手による書物である。日本にいる日本人なんだから当たり前と言えばそうなのだが、何せ今までの私は翻訳モノ一辺倒だったのだ。我ながら、勘定してみてかなりビックリした。
そんな今年を振り返りつつ、「読んでよかった」本を皆様に再度ご紹介申し上げたい。お礼の代わりにはなりませんが、私からの感謝の気持ちを込めて。
<伊坂幸太郎を読んだ事のないあなたに>
今年最大の「収穫」は、この作家に出会えたことだった。その中でも、最初に読んだこの4冊は特にオススメである。ユーモアに満ちた読みやすい文体で綴られる、あなたの知らなかった世界の側面を覗いていただきたい。
<少女の頃を懐かしく思うあなたに>
たかが少女小説と侮るなかれ。ぶつかり合いつつも支えあう友情や、家族との軋轢や愛情、上手く行くとは限らぬ恋愛……普遍的なテーマが読者の心を打つだろう。
映画も良くできていた。
- 旅するジーンズと16歳の夏 トラベリング・パンツ 特別版
- デリア・エフロン ケン・クワピス アンバー・タンブリン
- ワーナー・ホーム・ビデオ 2006-10-06
by G-Tools , 2006/10/14
<働く大人の魅力を堪能したいあなたに>
「仕事」というものは、本来どこかわくわくする要素があるものだ。無論、達成感を得られる時ばかりではないけれど、なすべきことをなすってカッコイイではないか。
この二冊には、時にジタバタしたり、失敗したりしつつも、何かを成し遂げる大人の姿がある。
<死体がゴロゴロ出て来る話が読みたいあなたに>
いやいや、いいじゃないですか、そういう趣味でも。本当にゴロゴロしている日常じゃなければね……。
<ラブストーリーを堪能したいあなたに>
悲恋あり、しみじみあり、不思議な味わいあり。
<ちょっと変わったSFを読みたいあなたに>
宇宙……それは最後のフロンティア。でも、不思議な世界はわざわざそこへ行かずとも、実はすぐ身近にあるのです。そんなことを教えてくれる作品をご紹介。
<謎解・ミステリをとことん楽しみたいあなたに>
え?なんで?どうして?なるほど!あーっ騙された!等々、「ミステリ小説を読む醍醐味」をご堪能いただきたい。
<現代を見つめなおす視点を手に入れたいあなたに>
社会を語るのはノンフィクションだけではない。虚構の物語でも、社会のありようを映し出し、問題を投げかけることができる。
<とにかくわくわくしたいんだよ!というあなたに>
これから先どうなるの?という楽しみや、疾走感あふれるストーリー、独特の文体にどっぷり浸れる作品などの三種盛り。
<しみじみとエッセイを読みたくなったあなたに>
エッセイというのは、露出趣味と覗き趣味の幸福な結婚のようなものだ。実際には書くのも読むのも下世話なものなのだろうが、読書という体裁をとれば何故かそれが美しく映る。この人が体験したこんなこと、あの人が考えているあんなことを、それぞれの筆者のフィルタを通してみる楽しさを味わっていただきたい。