今年読んだ本を振り返って

「魔王」から「九時から五時までの男」まで、読了して感想文を書いた本は88冊。子供がいるとやっぱりあんまり読めないなー、とか言えない量である。お前そんなに本読んでて、ちゃんと子育てしているのか?と疑われても仕方ない。でも、大丈夫です!ご安心ください。読書の合間にきちんと育児してます!……アレ?


今年読んだ本Best10はこちら。(例によって順不同。)

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神も仏もありませぬ
佐野 洋子
筑摩書房 2003-11

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砂漠
伊坂 幸太郎
実業之日本社 2005-12-10

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コーデックス
レヴ グロスマン Lev Grossman 三川 基好
ソニーマガジンズ 2006-03

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わたしを離さないで
カズオ イシグロ
早川書房 2006-04-22

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カレンの眠る日
アマンダ・エア ウォード Amanda Eyre Ward 務台 夏子
新潮社 2006-05

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あなたに不利な証拠として
ローリー・リン ドラモンド Laurie Lynn Drummond 駒月 雅子
早川書房 2006-02

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村田エフェンディ滞土録
梨木 香歩
角川書店 2004-04-27

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青猫家族輾転録
伊井 直行
新潮社 2006-04-27

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泣く泣く選外にしたものリストはこちら。
クライム・マシン
クライム・マシン

クリスマス・プレゼント
クリスマス・プレゼント

ベルカ、吠えないのか?
ベルカ、吠えないのか?

容疑者Xの献身
容疑者Xの献身

終末のフール
終末のフール

蜂の巣にキス
蜂の巣にキス

ジョナサンと宇宙クジラ
ジョナサンと宇宙クジラ



今年も素晴らしい作品を数多く読むことができた。作者・訳者・出版社・評者……これらの作品に関わる全ての方々に感謝したい。


今年心掛けたことは、できるだけ新しい本(今年出版されたもの)を読むことだった。
その際の本選びには、ミステリチャンネルミステリブックナビを大いに参考にした。
引っ越してからTVのない生活をしており、(これが意外なことに実に快適なのだが、)この番組が見られないことだけがどうにも寂しい。バックナンバーで紹介された作品名を知ることはできるけれど、評者四人の(実は不仲そうな)掛け合いを楽しめないのが残念なのだ。香山二三郎氏、吉野仁氏、豊崎由美氏、大森望氏に感謝。
特に、大森さんには翻訳でもお世話になっております。「最後のウィネベーゴ」がよーやく出たので、読むのを楽しみにしています。トヨザキさんの社会性と女性らしさの欠如にはいつもハラハラしていました。それが見られないのが本当に惜しいです。


今年初めて読んだ本ではないのだが、最近読み返してみて強く感動したもの。
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あなたの人生の物語
テッド チャン Ted Chiang 浅倉 久志
早川書房 2003-09

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ヒューゴー賞ネビュラ賞受賞作を含むSF短編集。以前から好きだった表題作(ネビュラ賞受賞)だが、子供を持って読むと、また違う作品に感じられる。言い過ぎて安っぽく聞こえてしまうのは不本意なのだが、何度読んでも涙せずにいられない名作である。子供を持つ両親(特に母親)と、母親の子供である全ての人に読んで欲しい作品。
人は自分の視点からしかものを見ることができない。様々な経験をすることで、自分の足場を広げ、客観的視野を獲得できるのだと思う。
読書は、直接足場を広げることには貢献できない。ただ、様々な人生のサンプルである物語を多く読むことで、客観的な視点を想像できるようになると思うのだ。これが他者への配慮や、状況を的確に捉える能力に寄与するので、読書は決して無駄なことではないと信じている。(なんにも寄与しなくても、無駄ではないとも思う。ネズミを捕らない猫のように。)
私の今の立場は、地球に生きる人間で、猫好きの三十代女性で、結婚と離婚の経験者で、小さな娘の母親。今年新たに獲得した視点で世界を見回すと、今まで見えなかったものを見つけられる。無関心で目をそらしていたものが目立って見える。理解できることが増えた面もあるが、想像すらできなくなったこともある。
こうやって人は変わっていく。だから、同じ本を何度読んでも、いつも必ず同じではない。良いものには、色褪せぬ魅力だけでなく、常に新しい発見がある。皆さん、本を読みましょう。
と、珍しく「読書のスヽメ」してみました。



かん子さんは、一人遊びの時に絵本を熱心にめくったり、赤ん坊語で朗読をしたりしている。もちろん、まだ読めるはずがない。私のマネをしているようだ。(絵本を全部出して、ついでのようにオムツやよだれかけを散らかした状態で読むのだが……これは私のマネではないと思う。たぶん。)
いつか一人で読書できるようになった時、彼女がどんな本を選ぶのか、私は今からとても楽しみにしている。いつか、互いに自分の好きな本を薦めあう日が来るのを、心待ちにしている。