These are a few of my favorite things

30代半ばを目前にして、ようやく自分のファッションの好みが分かってきた。
20代半ば過ぎまでは、迷走しながら確実に間違った方向へと行っていた。特に、色に関しては、これ以上ないくらい的外れな道を突き進んでいた。(色気ではなく「カラー」の話。そちらにも充分問題はあったが。)
好きな色は青で、ペールトーンやくすんだ色もシックだと思い多用。全身黒で固めるのはおしゃれなのだと思っていた。口紅は「ナチュラルな」ヌードベージュ。全体的に寒色系。顔色が悪いのは、色黒なせいだと思っていた。好みの色ばかりを選んで、似合う似合わないがあるなんてことを考えてもみなかった。


27の時、気分転換に「パーソナルカラー診断」を受けた。


パーソナルカラーとは、端的に言えば「その人に似合う色(色グループ)」を指す。肌に透明感を与え、健康的に見える色。しわや目の下のクマなどマイナスポイントが目立たない色。その人の個性をアピールする色。ということだ。逆に言えば、似合わない色を使うと、肌はくすみ、不健康に見え、しわやクマが目立ち、個性が埋もれるということか。怖いなあ。これを、色彩学などを修めたカラーリスト(スタイリスト)に判定してもらうのが、パーソナルカラー診断である。
判定基準は、素肌の色、そこに出る静脈の影響の度合い、骨格、瞳の色、髪の色などによる。分類方法は何種類かあるらしいが、一般的に良く知られているのが「四季分類」である。以下は私の大雑把な分類(不正確な可能正大)。正確なことを知りたい方は、本*1などでお勉強されたし。

<ブルーベース(静脈の影響が強いタイプ・顔色が青いわけではない)>
冬:原色と黒。クールで華やかな色が多い。
http://allabout.co.jp/fashion/colorcoordinate/closeup/CU20050401F/
夏:原色を白で薄めた色グループ。パステルカラーなどの爽やかな色が多い。
http://allabout.co.jp/fashion/colorcoordinate/closeup/CU20050401D/
<イエローベース(静脈の影響が弱いタイプ)>
春:原色を水で若干薄めた色グループ。ポップで明るい色が多い。
http://allabout.co.jp/fashion/colorcoordinate/closeup/CU20050401C/
秋:春の色に薄いグレーを加えてくすませた色グループ。枯葉色などのシックな色が多い。
http://allabout.co.jp/fashion/colorcoordinate/closeup/CU20050401E/



プロに見てもらう前に、自己診断*2というのをやってみた。「あなたの肌色は?」「瞳の色は?」「似合う赤は?」「良く着る色は?」「素顔で黒を着たら、色に負ける?負けない?」などの質問に自己判断で答えていく。「似合う赤」とか「色に負ける」とか、そんなのが自分で分かったら、こういうものに頼る必要はない。自信のないなりに進めていくと、私のパーソナルカラーは「冬」と出た。
しかし、実際にカラーリストの診断を受けてみると、私の分類は「春」になるという。やはり、私の自己診断はアテにならなかったようだ。その中でも、「似合う色」として示されたのは、なんと赤。(「入ってきた途端に、『赤の人だ!』って分かりましたよ〜」と言われた。私は共産党員か。)今まで選んできた色は、よりによって春タイプに最も似合わない色ばかり。確かに、赤や黄色の布を顔の下に当てると、顔色がまるで違って見える。日焼けして暗くくすんでいると思っていた肌が、健康的な明るい肌に見えるのだ。私って色黒じゃなかったんだ……とショックを受けた。(過去に色黒な時期は確かにあったが、その頃には既に抜けていた。)
それ以来、できる限りこの時アドバイスされた色を選ぶようにしている。(会社の制服が合わないのが悲しい。)しかし、相変わらず自分の似合うものがはっきり分からないので、買物の時などは専属スタイリストが欲しいところである。
けれども、不思議なことに、かん子さんの似合う色は見れば分かる。黄色やピンクが良く映えて、青や紺色だと寂しくなる。何故自分のことは(他人のことも)分からないのに、この人に似合う色だけが分かるのだろう?体のほとんどが顔面みたいに見えるせいだろうか?


さて、似合う色を知って、それが好きな色になった。(単純です。)赤いセーターや、黄色いシャツ、珊瑚ピンクのカットソーを買った。明るい色を着ると、可愛らしいスタイルも悪くないと思えるようになった。クールでシャープなイメージを追及してきたけれど、この先老けるばかりなのに、「大人っぽい」格好を追い求めるのもあほらしい。フェミニンな服装を心掛けるようになった。
そんなこんなで数年かけて、最近ようやく自分好みのスタイルを把握できるようになったのだ。遅い成長だなあ。
私のお気に入り。ぱりっとしたリボンやフリル。バイアスに裁ったハリのある生地。ふんわりと広がった裾。大きなボタン、折り返し(袖・襟・その他)。顔の近くにある、明るい色で毛足の長い、ふわふわの毛皮(マフラー・フードのトリミング・帽子)。ツヤのあるゴールドのアクセサリー。きらきらした明るい色の宝石(またはガラス玉)。あずき色の革(手袋・靴・バッグ)。草の葉、木の葉、野菜の緑色。明るくて温かみのある赤、ピンク、オレンジ、黄色。
好きだからといって、全部まとめてしまうと恐ろしいことになる。
でっかいフリルと折り返しカフスが付いた濃いピンクのシャツに、バイアス生地のフレアスカートを合わせる。あずき色の靴には、小さなリボンが付いている。手袋は靴と同じ色。指輪はゴールドの三連。ピアスは小粒ダイヤ。裾の広がった膝丈コートは明るい黄色(ピカチュウ色)で、大きなボタンが並んでいる。丸い襟の下に、明るい色のファーマフラーを留める。アイシャドウは若草色。チークはサーモンピンク。リップグロスは透明な赤。
くどいなあ。でも、これが今日の私の服装だったりする。「おしゃれ」としてはやっちゃいけないのだろうが、いやあ、楽しいんだなあ。


長い間、私は自分をブサイクだと思っていた。実際には十人並みの器量だということに気付いた時、とても嬉しかった。
最近では、自分は中々イケているのではないかと思えるようになってきた。こんなにカワイイのに、なんで全然モテないんだろうなあ、とか考えたりして、かなり危険である。そろそろ気を引き締めて、自分を見つめなおした方が良さそうだ。年齢に合わせて、派手な格好も慎まねば。
まあ、あと少しくらいはいいか。うーん、40歳くらいまで、いや50くらいまでは。いや、60で赤いちゃんちゃんこを着る時までは……。

*1:

*2:最近はその頃よりシンプルで分かりやすいものが多いようだ。オススメはこちら。http://www.kao.co.jp/blaune/color/index.html