暗いところで待ち合わせ

【内容(「BOOK」データベースより)】
視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。職場の人間関係に悩むアキヒロ。駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家へ逃げ込み、居間の隅にうずくまる。他人の気配に怯えるミチルは、身を守るため、知らない振りをしようと決める。奇妙な同棲生活が始まった―。書き下ろし小説。

  • 会社の若者に薦められた一冊。彼にとっては「今年読んだ中でベスト1」なんだそうな。お礼に「最後のウィネベーゴ」と「ヘルファイヤ・クラブ」を薦めておいた。楽しんでいただけることを祈る。
  • 著者の小説を初めて読んだが、中々幸福な邂逅となった。面白かった。陳腐な感想だが、素直に泣けた。ツボを押さえた演出の妙である。それでいて「あざとさ」を感じないのは、著者の力量ということか。
  • ミステリとしての仕掛けは大したことはない。それ以外の部分が中々。
  • 孤独な二人のキャラクタ設定が秀逸。小道具・大道具(?)の使い方もスバラシイ。
  • しかし、独り言や同性同士の会話には感じないのだが、男女の会話となると急に不自然さを覚える。急に男性がハードボイルド口調になるのである。独り言の時は「文章」として読んでいるから気にならないものが、そのまま「会話」になると違和感が出る。
  • 映画化されているようだが、そちらには興味が湧かない。
  • 日頃読書をしない方にもオススメしやすい量・内容である。