天使が震える夜明け

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天使が震える夜明け (ヴィレッジブックス)
P.J. トレイシー P.J. Tracy 戸田 早紀
ヴィレッジブックス 2006-09
評価

by G-Tools , 2007/07/21

内容(「BOOK」データベースより)
ウィスコンシンの田舎町、肌寒い秋の夜明けに、教会で老夫妻の惨殺死体が見つかった。夫妻の周辺を調べると、彼らが身元を隠して各地を転々としていたことがわかる。一方、隣の州のミネアポリスの凍えるような早朝にも、あるPCゲームを正確に模した殺人事件が次々と発覚していた。そのゲームを作成したのは“モンキーレンチ”という個性的な5人のメンバーで運営されている会社で、彼らもまた過去を抹消して生きていた。一見まるで関係のない2カ所の事件が交差したとき、共通する驚愕の事実が明らかになってくる!4つの新人賞を受賞した話題の母娘作家、堂々のデビュー・サスペンス。

これぞ、ジェットコースター・ノヴェル。いやあ、実に面白かった。状況とキャラクタ設定の勝利である。謎めいた夫婦、会社、同僚、そして過去から現れた復讐者の影。これらの隠された要素がテンポ良く明かされたり、別の謎へとリンクしていったりしながら、勢い良くストーリーは進む。寸暇を惜しんでページを繰った。あっという間の591ページだった。
難点は、(ありがちなことだが)最後に明かされる犯人の動機に納得できないこと。犯人の万能ぶりも意外すぎるというか、無理がある。また、魅力的な登場人物が非常に多く(その割に整理はされているのだが)、若干印象が散漫になったことが残念。
それでも、続編は是非読みたい。翻訳を楽しみに待つ。