双生児

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EQMM90年代ベスト・ミステリー 双生児 (扶桑社ミステリー)
ローレンス ブロック ピーター ラヴゼイ イアン ランキン
扶桑社 2000-09
評価

by G-Tools , 2007/07/21

内容(「BOOK」データベースより)
アメリカの伝統あるミステリー専門誌『EQMM』に掲載された膨大な作品のなかから、90年代を代表する作家24人の名作を厳選した、注目のアンソロジー登場!ブラッドベリ、オーツといった現代屈指の小説家、ブロック、ヴァクスなどの人気作家、ラヴゼイ、ヒル、デクスター、レンデルといったイギリス勢、ヒーリイ、マラーらによる私立探偵小説などなど、最前線で活躍する作家たちによる短編のショーケース。すべてのミステリー・ファンに贈る、20世紀の掉尾を飾るにふさわしい傑作集。

ダヴィデを探して(ローレンス・ブロック) ★★★☆☆
 スカダーがアル中じゃなくなって、幸福な生活を始めた……というスタートから、どんな不幸が彼を待っているのかと思ったが、そういう話ではなかった。スカダーが主人公でなければならない理由はない一篇。
双生児(ジョイス・キャロル・オーツ) ★★☆☆☆
 表題作だが、どこが面白いのかさっぱり分からん。陰惨で退屈。
クロンク夫人始末記(ピーター・ラヴゼイ) ★★★☆☆
 こういう短くすっきり、オチがバッチリ、という方が好きだ。
単独飛行(マーシャ・マラー/マーシャ・ミュラー) ★★☆☆☆
 主人公シャロン・マコーンものの長編を未読なため、彼女に充分感情移入できず、いまひとつに終わった。悲哀と情愛の物語なんだけど、核にいる人物の自分勝手っぷりしか目に付かず。
動いているハーバート(イアン・ランキン) ★★★☆☆
 初ランキン。お上手で、含蓄もある。読んでいる間はハラハラしたが、読後感はあまりない。
ヒマラヤスギの野人(ダグ・アリン) ★★★☆☆
 田舎の素人探偵もの(獣医が主人公)。意外な人物に意外な活躍をさせて面白かった。
善行(ヴァル・マクダーミド) ★★★☆☆
 オチに脱力。それは調査が足りないかったんじゃないの……?
ドードーは死んだ(コリン・デクスター) ★★★☆☆
 ふとしたきっかけで、顔見知りの思い出話の過去を探るモース警部。ストーリーは興味深く、引き込む力はあるけれど、オチまで読めばよくある話でもある。
つぎはお前だ(エド・ゴーマン) ★★★☆☆
 さっさと通報しときゃよかったのに、という話。主人公の押しと決断力の弱さにイライラできる一篇。これをベースにした長編もあるそうだが、間違っても読みたくない。
クリスマスの正義(ウィリアム・バーンハート) ★★★☆☆
 最近、「親子の情愛」(特に、断絶を含むもの)に弱い。おいおい泣いてしまった。が、公平に見れば別に傑作ではない。
ランポールと子守たち(ジョン・モーティマー)
 弁護士ランポールものの一篇。作りは小噺。オチは真実だが、それで裁判をどうにかできるかは疑問。
口を閉ざす女(ナンシー・ピカード) ★★☆☆☆
 ちょーイライラする、「全部知ってるけど喋らない目撃者」もの(長いな)。しかも、オチてもすっきりできない構成で、ガマンして最後まで読んでがっくり。せめてこれをラストに持って来ないでほしかった。