すてきなバースデー･デート

最近、誕生日を迎えた。友人（男前だが性別は女）が、「どうせ寂しい週末なんでしょ」と（は言わなかったが）食事に誘ってくれた。望みのプランを尋ねられたので、「夜景＆バー」という当方の希望を伝えた所、全てお任せでセッティングしてくれるという。うーん、ステキ。人妻にしておくには惜しい人材である。
さて、かん子さんを両親に頼み、化粧に力を入れ、精一杯オシャレして、本当にデートみたいに楽しむ気満々である。友人は夫君に「ナンパされてきなさい」と言われたらしいし、せっかくだから張り切って行きましょう。
さて、友人の計画通り、デートは横浜そごう裏手、シーバス乗り場から始まった。周りはカップルだらけである。風が強くて船はユラユラ、我々二人は「三角波が！」とか「ナンパされずに難破しそうだ」とか言って、好き勝手に楽しんでいた。
次に、赤レンガ倉庫で食事。今度も周りはカップルだらけである。私の好物を見つけたり、多目によそってくれたりと、あれこれ世話を焼いてくれる彼女は、「私ってすごくいい彼氏になれるよね！」と誇らしげである。なってどうするんだよ。
美味しいゴハンでお腹を一杯にして、そのまま山下公園まで散歩することにした。山下臨港線プロムナードという歩行者専用路を、海風に吹かれつつのんびり歩く。振り向けばみなとみらいの夜景が美しく、くどいようだが周りはカップルだらけである。
山下公園で歩道を降りると、見慣れぬ建物ができていた。ハッピーローソンなるもので、以前は自動販売機スペースだったところに、横浜市がローソンに委託して作らせたものとのこと。「子育て」がテーマだとかで、店内はブルーナグッズを初めとする子供用品でいっぱい。ついうっかり、かん子さん用に雨合羽を買ってしまった。黄色くてオレンジで、うさこちゃんでかわいかったものだから、つい（言い訳）。

さて、次なるプラン「バー」は、ホテルニューグランドの「シーガーディアン2」に行く予定だった。しかし、覗き込んだ店内は満席。黒服の店員は「（連絡先を残せば）席が空いたらご連絡しますよ」と言ってくれたが、酒を飲むために別の場所でお茶でもするというのは何か間違っているように思ったので、断って店を出た。
そのまま中華街方向へのんびり歩を進めていると、「491ハウス」というバーがあったので、入ってみた。丁度ジャズライブが始まり、良い雰囲気の中でカクテルをちびちび。「行きつけのバーが欲しい」という下戸共通の憧れを語り合う。実際には、二人ともアルコールを口にするのは数ヶ月ぶりである。
そんな訳で、当然のように酔っ払い、石川町駅への帰途、中華街の中で道に迷う。四差路の中央で「あっちじゃない？」「こっちだと思う」などと言い合っていたら、そもそもどっちから来たのかすら分からなくなってしまい、恥を忍んで通りすがりの方に教えを請うた。駅は目の前であった。


両親宅に行き、楽しかったよーと話したら、母親に「怪しいわね……」と言われた。友人と遊んだというのは嘘で、実は相手は女性ではないのでは？ということらしい。悲しいかな、実は全然怪しくないんだぜ。怪しい機会を是非とも持ちたいものである。