2歳 あるいは ブンデスリーガのかん子

nekonomimi2008-02-21

さてさて、かん子さんもいよいよ2歳である。「魔の2歳児」って言うんですって。知ってました?別にホグワーツに入学するとか、パンチラしながら変身するわよ♪とか、そういうんではない。寝てばかりだった赤ん坊が、立って歩いて片言で話しかけてきて、まああああなんてかわいいのかしら(はぁと)と油断していると、突如として魔物のようにあれもヤダこれもヤダと言い出すことを指す(たぶん)。ヤダヤダ言ってるだけなら、魔物にしては随分かわいいもんだけど。それはともかく、「2歳児には手を焼く」というのは定説らしく、そこに的を絞った育児書がいくつもあるほどである。(試しにamazon等で「2歳児」を検索されるとよろしかろう。)


例に漏れず、標準的1歳終盤児のかん子さんも、12月末辺りから自己主張が激しくなってきた。気に入らないことがあると、「やだの〜」と不満を述べる。
1月半ば、一人称が「かん子」に決定(したらしい)。家でも保育園でも、かんちゃんとか、かん子ちゃんとか言われて、誰も名前だけで呼ぶ人はいないのに、何故か自分のことは「かん子」と決めたようだ。うーん、男らしい。漢に子と書いてかん子か?自己主張はそれにつれてパワーアップ。
「これ、かん子の」
「!違います、これはお母さんの鮭です」
「ちーわーうー、かん子のー」
「お母さんのですっ」
かと思うと、自分がいらないものは進んで人に譲る。
「これ、おかあさんのね」
「ちゃんと食べなさいって」
「ううん、お母さんの」(にこにこ)
とても調子がいい。場面が食事ばかりなのは、かん子さんが食いしん坊だからである。


自立心も自己主張の一部である。何でも自分でやりたがる。特に、服の脱ぎ着にはこだわりを見せる。
「はい、パジャマ脱ぎましょう」
「ぶんでー、ぶんでー」
謎のドイツ語会話ではない。どうしても文頭の子音が弱くなってしまうので、「じぶんで」が「ぶんで」になってしまうのだ。私はこの状態を勝手に「ブンデスリーガの人」と呼んでいる。
「まま、来ないで!ぶんで!」
時間を気にする必要がなく、寒くて凍えるような日でもなければ、実際放置するようにしている。すると、ブンデスリーガのかん子選手は30分くらいかけて、そでを引っ張り、裾を伸ばしながら、懸命にTシャツを着るのである。後ろ前になっていても、得意気なその顔を見ながら直すことなどできはしない。連絡ノートに「自分で着ました」と書いて、そのまま預けることになる。へんちくりんだが、母は実の所ちょっと誇らしくもある。


ブンデスリーガの人は、「自分の仕事」にもこだわりを見せる。
脱いだ服を洗濯籠にいれる仕事を頼んだ所、中々マジメにやってくれる。時々「入れてきて」「やだの」となることがあるが、「じゃあお母さんがやっちゃおーっと。ひゃっほー」と浮かれ踊りつつ衣類を奪取しようとすると、慌てて「かん子がやるの!」と奪回して行く。
先日は、洗濯物を取り込む際にも手伝ってくれた。かん子さんの服をまとめておいたところ、抱え上げて、自分の洋服置場へと運んでいくではないか。あらあ、いい子ねー……と思っていたのだが、その後洗濯籠の中を見たら、先程の乾き立ての服が全部詰め込まれていた。置場を通過して、籠に直行した模様。応用が利かないのを実感した。
また、うららさんのゴハンを選び、うららさんのテーブルに配膳するのもかん子さんの仕事である。(缶を開けて盛り付けるのは私。)真剣な表情で器を捧げ持ち、慎重に歩を進め、「はい、どーぞ」と言って供する。うららさんがそのまま食べ始めると、「うらちゃん、食べてる」と満足気にコメントし、背中をナデナデ。ここまでが仕事の一環らしい。



自己主張が強く、誰に似たのか中々強情。しかし、優しいところもある。
みかんが好きなかん子さんに、最後の一つを譲った。皮をむいて「どうぞ」と出してやると、美味しそうに食べていたが、私の所にないのに気付いた。
「ままのは?」
「それが最後なの。かんちゃん食べていいよ」
「たべていいの?」
「召し上がれ」
と言うと、かん子さんは一房を手に取り、「はい、どーぞ」と私にくれた。
「くれるの?ありがとう!嬉しいなあ」
もぐもぐもぐ、とじっくり味わって食べた。
「もう一個くれる?」
「かんこの!」
ということで、みかん一房、一房ほどの優しさなのであった。


去年はようやく歩き始めたところ。今年は、年明けからベビーカーを使わなくなったくらい、歩くのが達者になっている。念願の会話もできるようになり、あったかくなったら一緒に旅行もしたい。魔物相手に苦労もするだろうけれど、楽しみも多い。
かんこさん、お誕生日おめでとう。あなたにとって、この一年が実り多いものになりますように。