30年前の絵本

先日、両親宅から、私たち姉妹が幼時に親しんだ絵本をもらってきた。ぜーんぜん記憶にないものもあるのだが、大好きでよく覚えているもの、忘れていたけれども一目見て記憶が蘇るものが多く、かん子さんそっちのけで私が夢中になっている。


きっかけとなった「わたしのおふねマギーB」、ヨダレが出る料理。

そろそろゆうごはんのじかんです。マーガレットはマフィンをこねてオーブンにいれました。
ももをきるとシナモンをふり、はちみつをとろりとかけてかけて、これもオーブンにいれました。



改めてその芸術性に舌を巻いた、ロバート・マックロスキー。特に好きなのは、「沖釣り漁師のバート・ダウじいさん」。ビビッドな色合いが今なお古びない美しさ。




以上、かん子さんにはまだ早いものが多いのだが、彼女が持ち帰る前から気に入っていたのが、山本忠敬さんの「のりもの系」絵本である。

「のろまなローラー」と「しょうぼうじどうしゃじぷた」は私も好きだったなあ。
ファンレターでもお送りしようかと思って調べたところ、山本さんは2003年に亡くなられたとのこと。残念なことだ。しかし、作品はこれから先もずっと子供たちに愛され続けることだろう。


実際、かん子さんが「でんしゃがはしる」を愛好することといったら、そりゃもうスゴイのだ。「これよんでー」と持って来て、パチパチパチパチと拍手で催促。読み終えると、私と声をそろえて「おーしーまい」。しかし、最後の「い」を言うか言わぬかの内に、「もっかいー」とアンコール。山手線が何周走れば気が済むんだよ。
それにしても、この本は古い。1978年発行なので、「やまのてせん でんしゃは 10りょうへんせいの こくてつ でんしゃ」なのである。黄緑色の車体が実に懐かしい。

京浜東北線も青いし。今はみんな軽量化でメタリックボディだからねー。


全体的傾向を見ると、何と言っても渡辺茂男作品が多い(作及び訳)。渡辺茂男作の絵本は、実は今読むとピンと来ない。(「てつたくんのじどうしゃ」なんて「そんな仕組みで車が動くか!」と突っ込みたくなる。)しかし、子供の頃とても好きだった記憶があり、またかん子さんも夢中になっている。大人相手にではなく、子供心をばしっと掴む点において、真の児童文学であると言えよう。
こちらも、残念ながら2006年に亡くなられている。
ぐりとぐら」で名高い中川李枝子(作)・山脇百合子(絵)作品では、「あひるのバーバちゃん」がかん子さんに大受けである。

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あひるのバーバちゃん (創作こども文庫 2)
神沢 利子 山脇 百合子
偕成社 1974-10

by G-Tools , 2008/03/01

そういえば、私もこの話好きだったなあ……さくらんぼのパイがおいしそうで。
かん子さんは、食い気より色気?なのか、鮮やかな風船が飛び交う「バーバちゃんのおみまい」が一番のお気に入りである。



印象的な作品に食べ物の描写が多いのは不思議である。いや、私の食い意地が張ってるのは分かってますよ。でも、姉妹とこれらの絵本を囲んで話していても、「なつかしいよねー、あの○○がおいしそうでねー」ということになるのだ。食い意地一族なのかもしれないが、食事というのは思い出になりやすいのかもしれない。「ふしぎなバスケット」のとんかつ、「もりのへなそうる」のたらこおにぎり、「こぐまのくまくん」のバースデースープなど、実際には口にしていないのに、「おいしい」記憶を持ち続けている。
きっと、かん子さんも30年後に語るのだろう。「バーバちゃんのさくらんぼパイ!あれ食べたかったなあ」とか、ね。