吹雪の山荘


内容(「MARC」データベースより)
吹雪の大晦日の夜、それぞれの思惑を胸に清沢郷の山荘に降り立った6名。首なし死体の謎、呪われた山荘の呪縛を解くことが出来るのか-。豪華名探偵役キャラクターで贈る本格リレー・ミステリ。巻末に解決予想も掲載。
『消えた山荘』笠井潔
『幽霊はここにいた』岩崎正吾著
『ウィンター・アポカリプス』北村薫
『容疑者が消えた』若竹七海
『吹雪物語(−夢と知性)』法月綸太郎
『時は来た…』法月綸太郎
『雪の中の奇妙な果実』巽昌章

★★★☆☆
リレー小説というジャンルで、初めて読んだ作品である。
全ての著者及び著作に通じていれば、もっと楽しめたのかもしれないが、私のおなじみさんは3人だけ。北村薫の「わたし」と、若竹七海、それに有栖川有栖である。そのおなじみさんを、別の作家が書くと、どうしても違和感が出る。キャラクタ生誕100年、みたいな固定化された登場人物ならさておき、それほどキョーレツでない人物を「それ」と分かるように書くのはさぞかし難しかったことだろう。結果、若竹さんはヒステリックな面を強調され、「わたし」と有栖の大学生二人は、ただのイイコに収まってしまう。
しかも、真犯人を特定する権利は、リレーのアンカー作家にだけ許されているので、それまでの章で名探偵諸氏がいかにがんばろうと報われぬこと甚だしい。まして、本来の最終章は有栖川有栖が仕上げる予定だったのが、本人が断ったために突如作中の有栖まで消えてしまうという混乱振り。
複数の作家の文体を見比べたこと、「わたし」が迫られるという本編ではあり得ないシーンを見られたこと、若竹さんに会えたことは面白かった。